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Folgezettel

メモとカードとアウトライン

フリオ・リャマサーレス(2017[1987])『黄色い雨』河出文庫(1)

沈黙、孤独、そして生死の狭間で爆発する語り 先が気になり少しでも早く読み進めたいと思う本と、読み終わってしまうのが惜しい本があると思います。 リャマサーレスの『黄色い雨』は、間違いなく後者にあたる作品です。惜しみつつページをめくり、一節一節…

紀田順一郎(1980)『黄金時代の読書法』蝸牛社

「若いうちに本は読むべき」 よく「若いうちに本は読むべき」と読書論に書いてあることがあります。 たしかに読書には時間がかかるし、人生は限られているのだから、必然的に世の中の全ての本が読めるわけではない。したがって、より早いうちから読み始めれ…

鶴見俊輔(2013)『文章心得帖』ちくま学芸文庫(2)

鶴見俊輔(2013)『文章心得帖』ちくま学芸文庫(1) 書くこと=選ぶこと 文章が自分の考えの支えとなる。 この指摘が示しているのは、自分がどのように考えていくべきか、引いては自分というもの自体を規定することと、書くという行為がダイレクトにつなが…

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(4)

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(1) 紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(2) 紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(3) 「書評的論説のすすめ」(p.266) 本を集めることは、…

鶴見俊輔(2013)『文章心得帖』ちくま学芸文庫(1)

文章を書くための「心得」 鶴見俊輔の『文章心得帖』は、実際に開かれた文章教室で話されたことを元に、その際参加者の方々が書いたものを実例としながら、自らの文章論をわかりやすくていねいに解説している本です。 これらの実例に対する具体的なコメント…

今までにツイートした本の感想(備忘録を兼ねて)

自己紹介的な意味もありますが、自分用の備忘録も兼ねています。 以下、古 → 新

紀田順一郎(1995)『日記の虚実』ちくま文庫(2)

紀田順一郎(1995)『日記の虚実』ちくま文庫(1) 「日記に書かれなかった事柄」への注目 書かれていることに対してのみならず、「書かれていない事柄」に対しても、紀田は鋭く分析の眼を向けています。 『麗子微笑』(1921)で有名な画家岸田劉生(1891~…

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(3)

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(1) 紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(2) 集めた本をどう読むか:「タテ積み」と「ヨコずれ」 本を集めると、必然的に1冊の本の熟読ではなく、複数の本の多読を要…

平澤一(1996)『書物航游』中公文庫(2)

平澤一(1996)『書物航游』中公文庫(1) 蒐集を様々な観点から分析・分類している「蒐集の話」 冒頭に置かれた「蒐集の話」では、書籍や美術品の蒐集について分析しています。非常に現実的かつ客観的な側面に焦点を当てており、精神科医ならではの視点と…

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(2)

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(1) 「スジを掴む」 ある問題について探索する際、どのような目的でそれを調査し、何を〈答え〉とみなすかについて確認したり、そもそもどこまで探索するかの範囲を決定したりする際には、「ス…

紀田順一郎(1995)『日記の虚実』ちくま文庫(1)

日記の〈真実〉 紀田は『日記の虚実』のなかで、次のように述べています。 日記は真実の記録であるはずだが、それが客観的な真実であるという保証は何もない。(p. 90) 「真実の記録であるはず」という言い方は、次のように解釈できるように思います。すな…

ハワード・S.ベッカー, パメラ・リチャーズ(1996)『論文の技法』(佐野敏行 訳)講談社学術文庫(2)

ハワード・S.ベッカー, パメラ・リチャーズ(1996)『論文の技法』(佐野敏行 訳)講談社学術文庫(1) 技法よりも精神的なコントロール 自分ではなく、他人はどう書いているのか。 どのように書き始め、書き継いで、書き直しているのか。 不安や悩みとい…

リチャード・パワーズ(2015)『オルフェオ』(木原善彦訳)新潮社(2)

リチャード・パワーズ(2015)『オルフェオ』(木原善彦訳)新潮社(1) ゲノムと音楽 そもそもなぜエルズは遺伝子工学に手を出したか。それは、遺伝子の構造やその運動性が、音楽のそれと同じものだからです。両者を結ぶキーワードは「感染」です。

リチャード・パワーズ(2015)『オルフェオ』(木原善彦訳)新潮社(1)

〈神〉の創造物への畏怖と科学 『マルテの手記』や『ドゥイノの悲歌』などの作者であるオーストリアの詩人・作家ライナー・マリア・リルケ(1875‐1926)が雑誌『インゼルシフ』の創刊号(1919年)に寄せた『原初のノイズ(Ur-Geräusch)』というエッセイがあ…

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(1)

本を読む前提としての、本の探索と整理に関する技術 読書論というと、本を読むことによって人生や日常に生じるであろう効用の数々や、速読法などの読み方や技術に関するものを思い浮かべがちです。しかしこれらは読む(べき)本がすでに手元にあったり、どれ…

平澤一(1996)『書物航游』中公文庫(1)

古書と物語 「古本」であるということは、古書店に並ぶ前、それは誰かに所有されていたものであるということです。 その本の所有者は、何らかの形でその本に書かれていることに興味を惹かれたり、またはその本を読む必要に迫られたりして、一度購入していま…

ハワード・S.ベッカー, パメラ・リチャーズ(1996)『論文の技法』(佐野敏行 訳)講談社学術文庫(1)

書く時に見るカード 書く前に必ず行うことのひとつに、「書く時に見るカード」をぼんやり眺めるというのがあります。何かを書く前に、一度これらの情報カードを繰って、書く心の準備をするという、おまじないのようなものです。 カードの内容は、論文執筆指…