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買って読んだ本・古本について書いていきます。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

リチャード・パワーズ(2015)『オルフェオ』(木原善彦訳)新潮社(2)

リチャード・パワーズ(2015)『オルフェオ』(木原善彦訳)新潮社(1) ゲノムと音楽 そもそもなぜエルズは遺伝子工学に手を出したか。それは、遺伝子の構造やその運動性が、音楽のそれと同じものだからです。両者を結ぶキーワードは「感染」です。

リチャード・パワーズ(2015)『オルフェオ』(木原善彦訳)新潮社(1)

〈神〉の創造物への畏怖と科学 『マルテの手記』や『ドゥイノの悲歌』などの作者であるオーストリアの詩人・作家ライナー・マリア・リルケ(1875‐1926)が雑誌『インゼルシフ』の創刊号(1919年)に寄せた『原初のノイズ(Ur-Geräusch)』というエッセイがあ…

紀田順一郎(1986)『読書の整理学』朝日出版社(朝日文庫)(1)

本を読む前提としての、本の探索と整理に関する技術 読書論というと、本を読むことによって人生や日常に生じるであろう効用の数々や、速読法などの読み方や技術に関するものを思い浮かべがちです。しかしこれらは読む(べき)本がすでに手元にあったり、どれ…

平澤一(1996)『書物航游』中公文庫(1)

古書と物語 「古本」であるということは、古書店に並ぶ前、それは誰かに所有されていたものであるということです。 その本の所有者は、何らかの形でその本に書かれていることに興味を惹かれたり、またはその本を読む必要に迫られたりして、一度購入していま…

ハワード・S.ベッカー, パメラ・リチャーズ(1996)『論文の技法』(佐野敏行 訳)講談社学術文庫(1)

書く時に見るカード 書く前に必ず行うことのひとつに、「書く時に見るカード」をぼんやり眺めるというのがあります。何かを書く前に、一度これらの情報カードを繰って、書く心の準備をするという、おまじないのようなものです。 カードの内容は、論文執筆指…